世界に倣う

宇宙をミーメーシス美学・芸術学研究(’19)を履修したのは、ほかに美術系の科目が見当たらなかったという、割と消極的な理由からだ。しかし一旦授業を視聴してみると、予測を遥かに超える面白さだった。

まず、『芸術』の定義が、まさに『目から鱗』である。
今まで、芸術とは何となくオリジナリティー(独創性)が重要だと思っていたが、このことが授業ではバッサリ否定されて、「芸術とは模倣である」というのだから驚いた。『模倣』というと「マネ」しているような、ネガティブなニュアンスを含んでいるかのようなので、『倣う』という言葉の方が妥当かな。芸術は、世界や自然や過去の芸術など、偉大な先達に倣うことによって存在する…ということなのだ。私たちの存在する世界そのものに対するリスペクトが感じられて、何とも心地良い学説だ。

授業では『模倣』を『ミーメーシス』と呼んでいて、時に「『模倣』ではなく『再現』である」とも述べられている。先生の語り口は抑揚があり、大事なことは2、3回繰り返して説明してくれるので、理解しやすい。採り上げられる作品もモナ・リザから文学、演劇、映画『アバター』まで多岐に渡る。特に建築と美術館の回は、個人的に面白かった。今回学んだことが、今後の芸術鑑賞に活きてくると思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です