母は放送大学一期生

前の記事でも記していた私の母は、放送大学が設立した年に入学した。つまり一期生だ。卒業するのに6年を要したそうなので、「第一期卒業生」ではないだろう。調べてみると、放送大学の設立は1983年で、学生の受け入れ開始が1985年4月だったらしい。当時の母は40代、商売をしていた父を手伝い、家事をすべてこなし、乳児を含む4人の子供を育てていた。多忙過ぎる中、よく夜の12時頃から教科書を広げる様子を目撃していたが、勉強している母は生き生きとしていた。スクーリングのために弘明寺やら茗荷谷やらに行く時も、大変大変と言いながら楽しそうだったのを憶えている。社交的で愛想の良い母は、スクーリングで出会った学友も多かったらしい。心理学系の科目を多く履修していて、卒業後の進路としてカウンセラーを希望していたようだが、父が厳しく、仕事に就くことはなかった。2014年に父が他界してからは、自由に家に友人を読んだり外出できるようになって、のびのびと楽しんでいたが、去年の夏以降、急速に体力が衰えて、本当にあっという間に他界してしまった。

思えば、両親とも、とても勤勉だった。自分が通信制の大学に行ったのも、放送大学を選んだのも、修士を目指しているのも、親の影響が大きいといえる。二人とも、成人した4人の子供に介護などの手間を掛けさせることもなく、80歳を目前にさっさと亡くなっってしまった。今頃天国で母は生前のように、在学時に苦手だった英語を外語大卒の父に習っているかもしれない。

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